新井選手MVP記念。おめでとうございます。

｢このﾒﾝﾊﾞｰの中ではちょっとだけ高齢ですけど､おじさんでも頑張ればできるんだというのをちょっとは見せられたと思います｡周りの若い選手に自分が引っ張ってもらいました｣

緒方監督が先ごろ広島市内で開催された2000安打達成記念祝賀会で｢たぶん､私の予想ではｾ･ﾘｰｸﾞのMVP!｣と予想したが､その通りになった｡一緒に2年間をともにした黒田も緒方監督とﾃｰﾌﾞﾙ席からその姿を見守っていた｡

ﾊﾟ･ﾘｰｸﾞの方では日本ﾊﾑ･大谷翔平が選ばれた｡投手部門とDH部門､二刀流ﾍﾞｽﾄﾅｲﾝの22歳も新井貴浩の隣りに並んだ｡

2年連続ﾄﾘﾌﾟﾙｽﾘｰの山田哲人や､本塁打と打点でｾ･ﾘｰｸﾞ二冠の筒香嘉智､同じく首位打者の坂本勇人､阪神にやってくる糸井嘉男らそうそうたるﾒﾝﾊﾞｰが檀上に揃う中で､新井貴浩だけが特別な光を放っていたことに､恐らく会場の､そしてﾃﾚﾋﾞ中継を見ていたﾌｧﾝは気づいたはずだ｡

｢黒田さんには思いきりｶﾞｯﾂﾎﾟｰｽﾞして出ていけ､と言われたんですけども､最初聞いた時は冗談かとそういうふうに思いました｡今年1年まさかまさかと言われ続けて､最後にまさかこのような賞がいただけるとは､ほんとに思ってもいませんでした｡これも一重に監督を始め､最高のﾁｰﾑﾒｰﾄそして最高のﾌｧﾝに取らせていただいた賞だと思っています｡本当にありがとうございました｣

その話しぶり､ｶﾒﾗ映り｡その存在感がﾌﾟﾛ野球年間表彰式のNPB AWARDS 2016に誰よりもよくﾊﾏっている｡大谷の立ち姿も異次元だが､やはりまだ若すぎる｡2000安打達成記念祝賀会では､ﾌﾟﾛ野球界以外の重鎮や各界ﾄｯﾌﾟが1600人も集まる中でその姿が異彩を放っていた｡そして今回もまた､それはまったく同じだった｡間違いない｡新井貴浩は山本浩二､衣笠祥雄のあとに続き､この先､大監督の道を歩むことになる｡

｢勝ってる時も負けてる時もﾍﾞﾝﾁはすごく元気がありましたし､少々のﾋﾞﾊｲﾝﾄﾞだったら絶対にひっくり返すんだという､そういう気持ちが全員出ていましたね｡最後の最後でほんと､悔しい思いをしたので､今年より道はさらに厳しく険しくなると思いますけどもみんなで力を合わせて､ｶｰﾌﾟの良さはほんと一体感のあるところなので､みんなでほんと､一体となって日本目指して頑張っていきたいと思います｣

赤い風景に広島が､日本中が沸いた2016年､黒田と新井貴浩の復帰2ｼｰｽﾞﾝ目｡赤いﾈｸﾀｲの最優秀選手は｢一体となる｣ことこそが何よりも大切であることを､日本中に告げ､極めて”ｽﾏｰﾄ“なｴﾝﾃﾞｨﾝｸﾞを演じ､そして感動と興奮の2016ﾌﾟﾛ野球の幕をその手で降ろしたのである｡