子どもらの病気の事

三男の独り立ち

昨年小学校に上がって、すぐに兄たちの野球チームに入った三男。とは言え、最初は本人が特に望んだわけでも無く、兄たちが行ってる事もあり半ば強制的に行かせ始めたのだった。

結局昨年の前半はコロナでほとんど活動が無かったが、後半に入って少しずつ活動が再開され、練習に行くことも多くなってきた。

ところが今年、四月に入って二年生に上がった頃から、練習にも行きたく無いと言い出した。兄たちと同じチームでそんな事を言うとは思っても見なかった。

なんとなく、兄たちの後を追っかけて勝手に野球が好きになるもんだとばかり思っていたので、それは想定外の出来事だった。

ただ、行きたく無いものを無理やり行かせても逆効果だろうと考えて、練習を休ませていた。兄たちが行って、1人で暇になれば、そのうちまた一緒に行くかな?と軽く考えていたのである。

だが、5月になっても6月になってもかたくなに拒否する。これはもう行くことは無いだろう。野球チームからはいったん除籍してもらう事にした。

とはいえ、兄たちの野球の都合もあり練習や試合の日にどこか遊びに連れて行けるでも無い。特に土曜日は弟も保育園で遊び相手も無く、それでいて退屈だと言われても困るのだ。

僕としても、何かしらスポーツをやって欲しいと思っている。とにかくエネルギーを発散させる場が必要なのだ。サッカーでもテニスでもバスケでもなんでも良かったが、それこそ見学に行けるでも無く、どうしたものかと思案していた。

そこでふと考えたのが、彼の大好きなドラゴンボールだった。小学校に上がって字が読めるようになった彼はえんえんとドラゴンボールを繰り返し読んでいる。何かあれば、悟空がどうした。筋斗雲がどーだ、ドラゴンレーダーはどこで買えるだの、そんな事ばかり口にする。

そこで試しにいくつかのジャッキーチェンを見せてみた。それはまさに僕がちょうど彼くらいの年齢の時に憧れた物だった。金曜ロードショーや日曜洋画劇場でジャッキーチェンを見るたびに自分もこんなんやってみたいと淡い想いを抱いたが、ついにそれを親に言う事は無く結局幻となったものだった。

ジャッキーチェンを見せながら、彼に聞く。どうだ?これやってみるか?と。最初はイメージが出来なかったのだろう?反応は薄かった。試しに刑事物語2も見せてみた。少年がカンフー?の練習するシーンが写る。またジャッキーチェンを見せる。そうやって彼のイメージを少しずつ膨らませていった。

なんどかそれを繰り返し、ついに「やってみてもえーで」と言わせた。しめたっ!彼からしてみれば、父ちゃんがそこまで言うならやってあげてもエーで。くらいの気持ちかも知れないが、とにかくやつの気持ちを動かすことに成功した。

さて、こうなるとこちらのものだが、なんせ僕は格闘技系を全く知らない。空手が良いのか何が良いのかよくわからないなりに調べてみると少林寺拳法が近くにある事がわかった。

さっそく連絡して見学させてもらうと、ちょうど同じ年くらいの子も何人か頑張っている。やはりここでも「行ってみてもえーで」となった。

かくして三男は兄たちと違う道を歩みだした。今までは保育園に行っても、小学校に行っても、野球に行っても常に兄たちがいた。生まれて初めてひとりぼっちで外の世界に踏み出した。

またすぐに辞めたいと言い出すかも知れない不安もありながら、今は1歩踏み出した彼を全力で応援しようと思う。頑張れ。

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moja
昭和47年生まれ。生まれた時からカープファン。 姫路生まれ姫路育ち。現在は相生市矢野町榊。 パソコン販売・修理・組立、出張サポート、ホームページ制作・WEBデザインなど。 奥さん1人と4男の父 真宗門徒
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