5月3日朝、フェイスブックで泥憲和さんの訃報が投稿された。
僕がフェイスブックで泥さんの記事を読むようになったのはいつ頃だっただろうか?もう覚えていないが、元自衛隊隊員で憲法(9条)改正に反対で、反原発のこととかも投稿されておられて、姫路出身だし、泥姓だしひょっとして?とずっと思いながら記事だけを読んで勉強させていただいた。
それが昨年3月、組内であった「憲法と仏法」というテーマで講座が開かれた時にお見えになられており、そこでゲストスピーカーとしてお話もいただいた。講師には太田浩史先生と稲次寛さん。そして玉光順正さん。そのメンバーに混ざって突然話を振られたにもかかわらず、まるで準備ししていたかのような内容の話を聞いたのを覚えている。
講座が終わり、挨拶をさせていただいた。「はじめまして。いつもフェイスブックで拝見させていただいております」すると、「1~2度お会いしてますよ」と返ってきた。え?「前住の葬儀にいらっしゃいましたよね」と。
やはり泥さんも僕と同じ、西勝寺が手継ぎの寺だったのだ。そしておやじ(西勝寺前住職、故後藤宣一)の葬儀に参列されておられたらしい。その時に見た僕の事を覚えていてくださったのだ。本当にありがたい事だと思った。そして、こんなすごい人が近くにいてくださるのだから、僕はこれからいくらでも勉強できると思った。
が、あれから1年が過ぎ、結局あれ以降一度もお会いする機会なくこの日、お浄土にお生まれになられたという。
享年63歳?かな?早すぎるよな。思えばおやじも60だった。なぜ僕の周りの偉大な人たちはこうも早世な人が多いのか?
その泥さんがお亡くなりになられる10日ほど前に投稿されたのがこちら
【私の浄土真宗】⑧
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◆浄土真宗との出会い
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私が親鸞に出会ったのは二十代半ばのことでした。
家が代々の門徒なので法事で『正信偈(しょうしんげ)』などは耳になじんでいましたが、中身は一向に知らないし、「お経」と「偈」の区別もついていませんでした。まあ大半の人がそうでしょね。
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何がきっかけだったか忘れましたが、ある時ふいに『正信偈』に何が書いてあるのか知りたくなり、漢文を和訳しようと思いついたのです。でも専門用語が多くて、ちっともわかりません。解説書を読んでふむふむと思いながら訳したのですが、正直なところ、がっかりしました。
仏の教えが書いてあるのかと思いきや、浄土真宗にいたるまでの仏教史というか、真宗は正統な仏教史の中に位置づけられる教えなのだよといっているだけじゃないですか。
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◆『正信偈』に不審を感じる
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つまらね~と思ってほとんど興味を失いかけたのですが、ひとつ腑に落ちないところがありました。
『正信偈』に七高僧というのが出てきます。
釈迦から始まり法然に至るまでの、浄土門の教えを引き継ぎ、深めてきたインドと中国そして日本の高僧のことです。
『正信偈』に、それら高僧の説が順番に要約されています。
そこに「善導独り仏の正意を明らかにす(善導独明仏正意)」と書いてあるのです。
これが分からなかった。
善導だけが釈迦の本当に言いたかったことを明らかにした?
なにそれ。
だったら残りの高僧はどうなんだ?釈迦の本意を知らなかったことになるの?
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◆善知識との出会い
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で、あるとき、法事のあとのお斎の座で、ご院主さんに尋ねてみたのです。
うちのお寺は照陰山西勝寺といって姫路市の北部近郊、船津町にあり、ご院主さんは代々後藤姓です。
やはり船津出身の武将、後藤又兵衛と血脈を通じているのかな。
それはともかく、ご院主さんはその場で丁寧に答えてくださいました。なるほどと納得できる答えでした。
ご院主さんはさらに、寺に来いとおっしゃいます。
そこで日曜日にお寺に伺ったところ、お前はこれで勉強せいと一冊の分厚い本を差し出されました。
『真宗聖典』でした。何千円もする高価な本です。
その本で、私ははじめて『仏説無量寿経』に出会い、親鸞の『教行信証』に出会ったのです。
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◆『仏説無量寿経』 法蔵菩薩に感動
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親鸞のは学説集だし、専門用語が多いので難しかったです。
むしろお経の方が説話としてすらすら(ということもないけど)読めました。四字一句でリズムのよい文章が多いしね。
漢文は、趣味にしていた邪馬台国の方で古代中国の『魏志倭人伝』や『漢書地理志』などを原文で読むことが多かったので、わりと慣れていたのが幸いしました。
で、法蔵菩薩の説話に出会い、48の決意や『重誓偈(じゅうせいげ)』にちょっと感動してしまったわけです。
ここを出発点に、真宗の本をいろいろと読みあさることが始まりました。
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ここまでは、「頭」の接近です。
知的好奇心からの接近でした。
まだ「なむあみだぶつ」を唱えるところには行きついていません。
「心」の方はまた別の出会いがありました。
明日につづく。
結局この「私と浄土真宗」も完結することは無かったが、こんな風におやじとかかわりはったんやなーとしみじみ読ませていただいた。
もっともっと教えていただきたい事はたくさんあったが、それももう叶わない。たくさんの学びをいただきありがとうございました。ゆっくりお休みください。
南無阿弥陀仏。
090-3990-0645