ネットを見ていて「ゲシュタルト崩壊」という言葉が目に入った。
はて?なんだっけ?聞いた事あるし、知ってる気もするが、なんだっけ?
気になりだすと止まらん性格なので調べてみた。まず「ゲシュタルト」はドイツ語( Gestalt)で、形、形態、状態の意とあった。
形?形態?ならばゲシュタルト崩壊は形が崩れるという事か?と思ったがちょっと違うらしい。
例えとして
「漢字を眺めていたら意味がわからなくなってしまった」
「文字がバラバラに見えてきた」
という事らしい。いまいちピンとこない。
夏目漱石の『門』の冒頭にも書かれていると。門?大昔に読んだ記憶はあるが、さっぱり覚えていない。
調べるとネットで読めるようだ。エラいもんだ。この辺はもう著作権が無いんだろうか?
『門』 夏目漱石
どうやらこの部分の事かな?
宗助は仕立したておろしの紡績織ぼうせきおりの背中へ、自然じねんと浸み込んで来る光線の暖味あたたかみを、襯衣シャツの下で貪むさぼるほど味あじわいながら、表の音を聴きくともなく聴いていたが、急に思い出したように、障子越しの細君を呼んで、
「御米およね、近来きんらいの近きんの字はどう書いたっけね」と尋ねた。細君は別に呆あきれた様子もなく、若い女に特有なけたたましい笑声も立てず、
「近江おうみのおうの字じゃなくって」と答えた。
「その近江おうみのおうの字が分らないんだ」
細君は立て切った障子を半分ばかり開けて、敷居の外へ長い物指ものさしを出して、その先で近の字を縁側へ書いて見せて、
「こうでしょう」と云ったぎり、物指の先を、字の留った所へ置いたなり、澄み渡った空を一しきり眺ながめ入った。宗助は細君の顔も見ずに、
「やっぱりそうか」と云ったが、冗談じょうだんでもなかったと見えて、別に笑もしなかった。細君も近の字はまるで気にならない様子で、
「本当に好い御天気だわね」と半なかば独ひとり言ごとのように云いながら、障子を開けたまままた裁縫しごとを始めた。すると宗助は肱で挟んだ頭を少し擡もたげて、
「どうも字と云うものは不思議だよ」と始めて細君の顔を見た。
「なぜ」
「なぜって、いくら容易やさしい字でも、こりゃ変だと思って疑ぐり出すと分らなくなる。この間も今日こんにちの今こんの字で大変迷った。紙の上へちゃんと書いて見て、じっと眺めていると、何だか違ったような気がする。しまいには見れば見るほど今こんらしくなくなって来る。――御前おまいそんな事を経験した事はないかい」
「まさか」
「おれだけかな」と宗助は頭へ手を当てた。
「あなたどうかしていらっしゃるのよ」
「やっぱり神経衰弱のせいかも知れない」
「そうよ」と細君は夫の顔を見た。夫はようやく立ち上った。
なるほど、なんとなくわかる。
と思ってさらに調べると、このブログがわかりやすかった。
和歌山県の岩出市立岩出小学校の校長先生のつぶやき
なるほど、これで100%理解できた。ありがとうございます。
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