映画『素晴らしきかな、人生』
映画『素晴らしきかな、人生』
いい映画だったが、胸が震えるような大感動とまではいかなかった。ただ、面白い。
例によって序盤の二十分ほどは先がまるで読めず、だったが、俳優たちと出会う十八分あたりから物語がくっきりと動きはじめ、そこからはテンポが非常に良い。
「愛」「時間」「死」という抽象的なテーマをストレートに扱うところも好きだし、終盤に待っている想定外がまた良い。物語としての仕掛けが効いている。
キャストとか
主演はウィル・スミス。よく名前は聞くが、たぶん自分は今回が初めて。ほかの俳優もほぼ初見だ。
ただ、エイミー “愛”を演じたキーラ・ナイトレイが、なぜか『ブラックリスト』のリズ(メーガン・ブーン)に見えて仕方なかった。特に角度によってはそっくりだ。もちろん血縁だとか共通点はなさそうだし、顔の造作でいえばキーラ・ナイトレイのほうが明らかに整っているのだが、画面の一瞬で「あれ?」となるあの似方は不思議だ。
いずれにしても、ラストの予想外を含めて面白い映画だったと思う。
評価は☆3.8、点数にすると65点くらいか。
映画『素晴らしきかな、人生』(2016年)
公開日: 2016年(アメリカ)/日本公開:2017年2月25日
監督: デヴィッド・フランケル
原作者: ―
原作: ―(オリジナル脚本)
映画脚本: アラン・ローブ
撮影: マリス・アルベルチ
原題: Collateral Beauty
配給: ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日: 2017年2月25日(日本)
ジャンル: ヒューマンドラマ、ファンタジー要素
製作年: 2016年
製作国: アメリカ合衆国
上映時間: 94分
字幕・翻訳: 日本語字幕版・日本語吹替版あり
音楽: セオドア・シャピロ
主題歌: 特定の主題歌なしキャスト
ハワード - ウィル・スミス(東地宏樹)
ホイット - エドワード・ノートン(宮本充)
エイミー (“愛”)- キーラ・ナイトレイ(渋谷はるか)
サイモン - マイケル・ペーニャ(岩崎正寛)
マデリン - ナオミ・ハリス(浅野まゆみ)
ラフィ(“時間”) - ジェイコブ・ラティモア(英語版)(奈良徹)
クレア - ケイト・ウィンスレット(加藤有生子)
ブリジット(“死”) - ヘレン・ミレン(一柳みる)
サリー・プライス - アン・ダウド
ホイットの母親 - メアリー・ベス・ペイル(英語版)
トレヴァーの母親 - ライザ・コロン=ザヤス(英語版)
アダムの母親 - ナタリー・ゴールド(英語版)
スタン - エンリケ・ムルシアーノ(クレジットなし)作品の持つテーマとみどころ(コンセプト)
この映画は「喪失」「再生」「見えないつながり」を扱った寓話的ドラマ。主人公ハワードは娘の死をきっかけに人生が崩壊し、仕事も仲間も失いかけるほど深い悲しみに沈む。その彼の前に現れるのが、「愛」「時間」「死」という抽象概念を象徴する3人の存在。
彼らとのやりとりは、現実か幻想か境界が曖昧なまま進むが、その曖昧さが“人が悲しみの中で見る世界”の不確かさを象徴している。
みどころは、豪華キャストが抽象概念を実体として演じる独特の世界観と、主人公が少しずつ心の殻を割っていく過程。
原題 “Collateral Beauty” は「逆境の中でしか見えない美しさ」という意味で、映画全体がその一言を体現している。そこに気づく瞬間の静かな余韻が、この作品の肝になっている。
