映画『アルキメデスの大戦』
映画『アルキメデスの大戦』
なんか微妙だった。戦争映画のイメージを勝手にかぶせてしまっていたのかもしれないけど、思っていたほど“戦争そのもの”を描く感じではなかった。数学なのか、戦争批評なのか、反戦なのか、その全部を混ぜ込んだような空気で、どこを主軸にしたいのかが自分にはあんまり見えてこなかった。
原作が三田紀房だというのは知っていたけど、原作は読まずに鑑賞。映画として話は完結していたので、その点は悪くなかった。ただ、物語の“結局どこへ落としたいのか”が自分には掴みにくくて、その部分は原作のほうがもっとはっきりしてるのか気になった。
総じて、可もなく不可もない感じ。☆3、50点、そんなところ。
キャストとか
主人公が久能整だと気づくまでけっこう時間がかかった。雰囲気はそのままなのに髪型が違うだけで意外と印象が変わるもんなんだな、と妙に納得したり。自分が菅田将暉(すだ まさき)という名前をいまだに咄嗟に思い出せないせいもある。どうやったら菅田をすだって読めるんだ?
他に知ってる名前といえば、舘ひろし、鶴瓶、橋爪功、くらい。國村隼(くにむら じゅん)さんなんて名前を初めて認識したけど、よく見る顔ではある。
演技面で特筆するほどの驚きはなかったけど、監督が山崎貴──『ゴジラ-1.0』の監督──だったのはちょっと意外で、そっちのほうが気になった。
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映画『アルキメデスの大戦』
公開日:2019年7月26日
監督:山崎貴
原作者:三田紀房(漫画『アルキメデスの大戦』)
原作:同上
映画脚本:山崎貴
撮影:柴崎幸三
原題:アルキメデスの大戦
配給:東宝
劇場公開日:2019年7月26日
ジャンル:歴史ドラマ/戦争/サスペンス
製作年:2019年
製作国:日本
上映時間:130分
字幕・翻訳:−(日本映画のため特記事項なし)
音楽:佐藤直紀
主題歌:なし(劇伴のみ)
キャスト(できるだけ詳しく)
・櫂直(かい・ただし):菅田将暉 元帝大の天才数学者
・山本五十六:舘ひろし
・田中正二郎:柄本佑
・尾崎鏡子:浜辺美波
・大里清:笑福亭鶴瓶
・平山忠道:田中泯
・永野修身:國村隼
・福井晃一:小林克也
・嶋田繁太郎:橋爪功
・川島正次郎:小日向文世
・原大尉:山崎一
・工藤:中村育二
ほか
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作品の持つテーマとみどころ(コンセプト)
数字という“冷徹な真実”で戦争を止めようとした青年の物語。
巨大戦艦「大和」建造の是非を、予算書と設計図、そして純粋な数理で暴く…という戦争映画ではかなり異色の軸を持っている。銃も砲弾も飛ばないが、数字の一点を巡って国家レベルの駆け引きが展開されるところが最大の醍醐味。
映画の面白さは、物語が“知的戦闘”として描かれている点。櫂の推理は、数学というより論理の連鎖が組み合わさった巨大パズルで、観客も一緒に解析しているような気分になる。
終盤で提示される“真の動機”が物語を一段階ひねり、単なる歴史再現ではなく「戦争をどう防ぐか」という逆説的テーマがくっきり立ち上がる。
理屈で戦争を止めようとした若者の奮闘を、重厚な映像と切れ味の良い脚本で支えた作品。
