映画『殿、利息でござる!』想像を超える感動作
久しぶりの映画。退院してから初めてだ。
『殿、利息でござる!』を観た。
この映画、タイトルもそうだし、ましてや阿部サダヲ出演ということでもっとはじけたコメディ的な、なんなら『武士の家計簿』みたいなもんだと思ってたけど、それもそのはずだった。
そもそもこの映画が作られた理由がこれだ。
映画『武士の家計簿』を観た宮城県大和町の元町議会議員・吉田勝吉が、原作者の磯田道史に「この話を本に書いて広めて欲しい」と手紙で託したのをきっかけに「穀田屋十三郎」を含めた『無私の日本人』を出版。
その『無私の日本人』が原作に映画が作られていたのだ。
ちなみに映画化のいきさつは以下のとおり。
014年、東日本放送が開局40周年記念事業の一環で、映画製作を中村義洋に依頼[12]。「無私の日本人」を読んだ京都の読者が東日本放送に勤務している娘に送り、感動した娘が同社勤務の同僚に薦め、同僚が元同僚に薦めた。その元同僚が中村義洋の妻で「無私の日本人」を中村に見せた。「無私の日本人」に感動した中村が東日本放送に映像化を掛け合うが、最初時代劇に難色を示す。映画化した決め手は、東日本放送社長が「無私の日本人」に感動して映像化を許可したことだった。磯田はこの流れを「感動のドミノ」と称した。wikipedia
そして最初の「この話を本に書いて広めて欲しい」というのが『国恩記(こくおんき)』という書物だと。
『国恩記(こくおんき)』は、江戸時代後期に仙台藩の吉岡宿(現・宮城県大和町)で、重い年貢や宿場業務の負担に苦しむ町人たちが協力し、藩に利息で金を貸し付ける(宿貸し)ことで窮民を救った実話を記録した書物。龍泉院の栄洲瑞芝(えいしゅうずいし)禅師が記した。
要するに『国恩記(こくおんき)』を元に書かれた磯田道史の評伝「穀田屋十三郎」(『無私の日本人』所収)が原作という流れだ。
そして想像してたよりめちゃくちゃ良い映画、内容でした。
さらには、映画に登場した「穀田屋」さんが現在も酒屋として営業されているというのがなんともまたすごいお話だった。
いつか、穀田屋さんに行ってみたいな。
主題歌がRCサクセションの「上を向いて歩こう」ってのもかっこ良かったし、濱田岳さんのナレーションも良かった。何より竹内結子ってめちゃくちゃかわいいなと思ったら、あの亡くなられた人だったのか。今さらながら初めて知った。南無阿弥陀仏。
以下資料。
「国恩記」ゆかりの地 宮城県黒川郡大和町
史記・国恩記舞台の宿場町【吉岡宿本陣案内所】 and trip
著者: 龍泉院八世・栄洲瑞芝禅師
舞台: 陸奥国黒川郡吉岡宿(現在の宮城県黒川郡大和町)
内容: 江戸後期、過酷な宿駅負担(伝馬役)により破産寸前となった吉岡宿を救うため、住民が資金を集めて仙台藩に貸し付け、その利息(年利約10%)を宿場運営の資金に充てて窮状を脱した記録。
意義: 住民たちが私財を投じて町を救った「無私」の精神と、その知恵のプロセスが詳細に記されている。
歴史的背景: 映画「殿、利息でござる!」(2016年)の基となった物語で、大和町の吉岡宿本陣案内所にてこの史実に関する展示や資料を見ることができる。
穀田屋(中町)
2階建て木造住宅の1階でお店が開いている写真
映画「殿、利息でござる!」では、主人公として吉岡宿の救済に奔走した「穀田屋十三郎」の子孫が営む酒屋。当時と変わらない場所で営業を続けている。
大和町
『殿、利息でござる!』
公開日:2016年5月14日
監督:中村義洋
原作者:磯田道史
原作:磯田道史 『無私の日本人』所収「穀田屋十三郎」文春文庫刊)
映画脚本:中村義洋、鈴木謙一
撮影:阿藤正一
原題:殿、利息でござる!
配給:松竹
劇場公開日:2016年5月14日
ジャンル:時代劇/人情コメディ
製作年:2016年
製作国:日本
上映時間:129分
字幕・翻訳:—
音楽:安川午朗
主題歌:RCサクセション「上を向いて歩こう」
ナレーション - 濱田岳
音楽 - 安川午朗
撮影 - 沖村志宏
照明 - 岡田佳樹
録音 - 松本昇和
音響効果 - 伊藤瑞樹
美術 - 新田隆之
編集 - 川瀬功
助監督 - 佐和田恵
特殊メイク - 江川悦子
所作指導 - 勇家寛子、清家一斗
アクションコーディネーター - 吉田浩之
ロケ協力 - 山形県、鶴岡市、せんだい・宮城フィルムコミッション、ながのフィルムコミッション、新潟県フィルムコミッション協議会 ほか
スタジオ - 東宝スタジオ
企画協力 - 文藝春秋
アソシエイトプロデューサー - 稲垣竜一郎
ラインプロデューサー - 湊谷恭史
エグゼクティブプロデューサー - 武田功、安達英雄
プロデューサー - 池田史嗣、三好英明、鎌田恒幹
製作総指揮 - 大角正、両角晃一
制作・配給 - 松竹
企画・製作幹事 - 松竹・東日本放送
制作プロダクション - ザフール
制作協力 - 松竹撮影所 東京スタジオ、松竹映像センター、スタジオセディック、M&N CO株式会社
製作 - 『殿、利息でござる!』製作委員会(松竹、東日本放送、木下グループ、電通、テレビ朝日、朝日新聞社、朝日放送、メ〜テレ、九州朝日放送、北海道テレビ放送、河北新報社、ザフール、広島ホームテレビ、静岡朝日テレビ)
キャスト
造り酒屋・穀田屋
穀田屋十三郎 / 阿部サダヲ:穀田屋の当主
加代 / 岩田華怜:穀田屋十三郎の娘。
穀田屋音右衛門 / 重岡大毅:穀田屋十三郎の息子。
茶師・菅原屋
菅原屋篤平治/瑛太:茶師。
なつ/山本舞香:菅原屋篤平治の妻。
造り酒屋・両替屋 浅野屋
浅野屋甚内 / 妻夫木聡:吉岡宿一の大店である浅野屋の当主。穀田屋十三郎の弟。
きよ / 草笛光子:穀田屋十三郎と浅野屋甚内の母。
先代・浅野屋甚内/山﨑努:浅野屋の先代主人。故人。穀田屋十三郎と浅野屋甚内の父。
その他吉岡宿関連の人物
とき/竹内結子:煮売り屋「しま屋」の女将。
遠藤幾右衛門/寺脇康文:吉岡宿の肝煎
千坂仲内/千葉雄大:吉岡宿他40か村をまとめる大肝煎。
穀田屋十兵衛/きたろう:味噌屋。穀田屋 十三郎の叔父。
早坂屋新四郎/橋本一郎:雑穀屋。
穀田屋善八 / 中本賢:小物問屋。
遠藤寿内/西村雅彦:両替屋。
栄洲瑞芝 / 上田耕一:龍泉院の住職。事の顛末を後世に伝えるため、「国恩記」を記す。
忠兵衛 / 芦川誠:大工
利兵衛 / 沖田裕樹:伝馬人足
卯兵衛 / 平野貴大:伝馬人足
伝五郎 / 小松利昌:伝馬人足
幸右衛門 / 宮本大誠:伝馬人足
平八 / 尾上寛之:伝馬人足
仙台藩
伊達重村 / 羽生結弦:仙台藩第7代藩主。
萱場杢 / 松田龍平:仙台藩の出入司(財政担当者)
橋本権右衛門 / 堀部圭亮:代官
八島伝之助/ 斎藤歩:代官
今泉七三郎 / 磯田道史:郡奉行
作品の持つテーマとみどころ(コンセプト)
この作品は、江戸時代の実話をもとにした“庶民による奇跡の金融作戦”の物語です。
■ テーマ
無私の精神(見返りを求めない善意)
知恵で困難を乗り越える庶民の力
お金=悪ではなく「使い方」が重要という視点
貧しい宿場町を救うため、村人たちが「お金を殿様に貸し、その利息で町を立て直す」という前代未聞の計画を実行します。
■ みどころ
① 地味だけど熱い“お金のドラマ”
刀や戦ではなく、「金策」で戦う時代劇。
数字と信頼だけで世の中を動かそうとする構図が非常にユニークです。
② 豪華キャストによる人情劇
阿部サダヲを中心に、笑いと涙のバランスが絶妙。
特に瑛太や松田龍平との掛け合いは静かな熱さがあります。
③ 実話ベースの説得力
現代で言えば“クラウドファンディング”的発想。
江戸時代にこれをやったという驚きとリアリティがあります。
④ 羽生結弦の殿様役
短い出演ながらも印象的で話題に。
作品の歴史的重みと話題性を両立しています。
■ 全体の魅力まとめ
派手さはないものの、「こんな方法で人は世の中を変えられるのか」と感じさせる作品です。
笑えて、泣けて、最後には少し誇らしい気持ちになる——そんな“静かな名作”です。
