映画『十一人の賊軍』戊辰戦争、阿部サダヲ、仲野太賀、2024年
映画『十一人の賊軍』
なんと書けば良いのか。時代劇/歴史アクションというジャンルにおいては面白かったんじゃないだろうか。ただこれはジャンルの好き嫌いによって評価がわかれそうな作品だな。
戊辰戦争が舞台となりどうしても2022年の『峠 最後のサムライ』と比較してしまうからな。評価が高くなるのはある意味必然だろうか。
阿部サダヲ、仲野太賀の世代が新たに作り上げた歴史ドラマってことも評価が高いのかもしれない。いずれこの人たちが新しい『忠臣蔵』を作る時代が来るのかな。それはまた楽しみだ。そんなことを思いながらみていました。
評価は50点、★3だな。
映画『十一人の賊軍』(2024)
・公開日:2024年11月1日
・監督:白石和彌
・原作者:笠原和夫(原案)
・原作:オリジナル脚本(笠原和夫によるプロットに基づく)
・映画脚本:池上純哉・撮影:池田直矢
・原題:十一人の賊軍(英題:11 Rebels)
・配給:東映
・劇場公開日:2024年11月1日(日本・PG12)
・ジャンル : 時代劇/歴史アクション/集団抗争ドラマ
・製作年:2024年
・製作国:日本
・上映時間:155分
・字幕・翻訳:-(日本語作品/特記なし)
・音楽:松隈ケンタ
・主題歌:Dragon Ash「Straight Up feat. JESSE」(キャンペーンソング)
キャスト(役名/俳優)
主要人物
政(まさ)/山田孝之
┗ 駕籠かき人足。妻を手籠めにした新発田藩士を殺して罪人となった男。
鷲尾兵士郎(わしお へいしろう)/仲野太賀
┗ 直心影流の使い手である剣術道場主。家老の命で決死隊に参加する。
罪人たち(十一人)
赤丹(あかたん)/尾上右近
┗ イカサマ博徒。武士から金を巻き上げる賭博師。
なつ/鞘師里保
┗ 新発田の女郎。子を堕ろされた恨みから放火し、火付けの罪で投獄される。
ノロ/佐久本宝
┗ 花火師の息子。政を死んだ兄と思い込み、逃がそうとして脱獄幇助の罪に。
引導(いんどう)/千原せいじ
┗ 坊主。檀家の娘に手を出すなど女犯を重ねた破戒僧。
おろしや/岡山天音
┗ 医者の倅。ロシア(おろしや)へ密航しようとして捕まる。
三途(さんず)/松浦祐也
┗ 貧しい百姓。一家心中を図るも、自分だけ死に切れなかった男。
二枚目(にまいめ)/一ノ瀬颯
┗ 新発田随一の色男。侍の妻と恋仲になり、姦通の罪を負う。
辻斬(つじぎり)/小柳亮太
┗ 浪人。村人を無差別に斬り殺した辻斬り。
爺っつぁん(じっつぁん)/本山力
┗ 長州出身の剣術家。地主への強盗殺人で捕らえられている。
ウィキペディア
決死隊(新発田藩士)
入江数馬(いりえ かずま)/野村周平
┗ 決死隊隊長。城代家老の腹心で、娘・加奈の許嫁。
荒井万之助(あらい まんのすけ)/田中俊介
小暮総七(こぐれ そうしち)/松尾諭
新発田藩 関係者・領民
溝口内匠(みぞぐち たくみ)/阿部サダヲ
┗ 新発田藩の城代家老。藩の実権を握る策士。
溝口直正(みぞぐち なおまさ)/柴崎楓雅
┗ 新発田藩の若殿(藩主)。
溝口みね/西田尚美
┗ 内匠の妻。
溝口加奈/木竜麻生
┗ 内匠の娘で、入江数馬の許嫁。
仙石善右エ門(せんごく ぜんえもん)/音尾琢真
┗ 新発田藩士。政の妻・さだを手籠めにし、政に殺される因縁の相手。
寺田惣次郎/吉沢悠
┗ 新発田藩御城使。
里村官治/佐藤五郎
┗ 新発田藩の御用人。
さだ/長井恵里
┗ 政の妻。耳が不自由な女性。
村娘/ゆりやんレトリィバァ
┗ 兵士たちにおにぎりを配る、明るい村娘。
新政府軍(官軍)
山縣狂介(やまがた きょうすけ)/玉木宏
┗ 官軍先鋒総督府の参謀。新発田藩を官軍に取り込もうと画策する。
岩村精一郎(いわむら せいいちろう)/浅香航大
┗ 土佐藩士。軍監として山縣の右腕を務める。
杉山荘一郎/佐野和真
┗ 岩村の側近。
世良荘一郎/安藤ヒロキオ
┗ 官軍先遣隊隊長。
水本正虎/佐野岳
水本正鷹/ナダル
奥羽越列藩同盟(旧幕府軍)
色部長門(いろべ ながと)/松角洋平
┗ 米沢藩の新潟総督。新発田藩に官軍との戦いを迫る。
斉藤主計(さいとう かずえ)/駿河太郎
┗ 米沢藩の参謀。
作品テーマ
戊辰戦争という歴史の大きなうねりの中で、権力に翻弄された“罪人たち”が、最後に守ろうとしたものは何だったのか――。
この作品の中心にあるのは、「勝者の論理に書き換えられてしまった歴史の裏側」と、「賊軍」と呼ばれた側の誇りと矜持です。
寄せ集めの罪人たちが、それぞれの罪と過去を背負いながらも、“自分の人生を自分で選ぶ”ために砦を守るという矛盾だらけの戦いに身を投じていく。
「正義とは誰の都合で決まるのか」
「国のため、藩のためという言葉は、本当に人を救っているのか」
こうした問いを、骨太なアクションと人間ドラマで叩きつけてくる作品です。
みどころ
白石和彌監督×笠原和夫原案の“集団抗争時代劇”
『仁義なき戦い』で知られる笠原和夫が残した“幻のプロット”を、白石和彌監督が60年越しに映画化したという成り立ち自体が、大きな見どころです。
一人のヒーローではなく、「十一人」のアウトローたちの群像がメインになることで、ドラマの厚みがぐっと増しています。
泥臭くもスタイリッシュな戦闘シーン
砦を舞台にした銃撃戦・砲撃戦・白兵戦が、かなり容赦なく描かれます。
ただ派手なだけでなく、「ここで退けば助かるかもしれない」という揺らぎや、「生きて帰りたい」という執念がアクションに滲んでいて、一本の戦争映画としても見応え十分です。
クセの強い“十一人”と豪華キャスト陣
賭博師、女郎、坊主、密航を企てた若者、一家心中に失敗した百姓など、罪人たちのバックボーンがそれぞれ強烈。
山田孝之・仲野太賀のW主演に加えて、尾上右近、鞘師里保、佐久本宝、岡山天音、野村周平、玉木宏、阿部サダヲほか、今の日本映画界を代表する顔ぶれが揃っているのも大きな魅力です。
“賊軍”の視点から見た戊辰戦争
教科書では「官軍=正義」とされがちな時代に、あえて新発田藩の寝返りと罪人たちの戦いを正面から描いている点もユニークです。
歴史ファンにとっては、戊辰戦争の一局面を別アングルで味わえる作品になっています。
あらすじ(ブログ向け・ネタバレなし)
1868年、戊辰戦争の最中。
新政府軍と対立する奥羽越列藩同盟に、しぶしぶ加わっていた新発田藩は、情勢の変化から“官軍側”へ寝返る決断をする。
しかしその見返りとして、激戦地となる砦の防衛を任されることに。
しかも砦を守るのは、藩が牢に繋いでいた11人の罪人たち――。
妻を手籠めにした藩士を殺してしまった駕籠かき人足・政
藩のやり方に不満を募らせる剣術道場主・鷲尾兵士郎
武士から金を巻き上げるイカサマ博徒・赤丹
子を堕ろされた恨みで火を放った女郎・なつ
脱獄幇助、女犯、密航、一家心中未遂、姦通、辻斬り、強盗殺人……
全員が“死罪確定”の極悪人たち。
彼らに提示された条件はただ一つ――
砦を守り抜けば、無罪放免。
こうして、罪人たちとわずかな藩士からなる“決死隊”が結成される。
刻一刻と迫る官軍の大軍、飛び交う銃弾と砲弾、裏で動く政治的な思惑。
「生きて帰りたい者」
「名誉を取り戻したい者」
「ただ自分の筋を通したい者」
思惑バラバラの十一人は、ときに衝突しながらも、次第に“同じ戦場を生きる仲間”として肩を並べていく。
やがて彼らの戦いは、新発田藩の運命だけでなく、自分たちの人生そのものを賭けた最後の一歩へと変わっていく――。

