【carp】梵とチャーリー

6月23日
赤の魂2016

ｾ･ﾘｰｸﾞとの戦いがまた始まる｡しかも最初は手負いのﾄﾗ｡雨も気になる｡どんな展開になるか?予想しづらい｡

だが､これだけは分かる｡

打順はそのままだし､ﾛｰﾃｼｮﾝ投手も固定される｡

｢戦い方は変えない｣と緒方監督｡交流戦の勢いそのままに､球宴までｲｯｷに勝負をかける｡

そうなれば今､二軍にいるﾒﾝﾊﾞｰはなかなか一軍には上がってこられない､と見るのが普通だ｡この4日間のｲﾝﾀｰﾊﾞﾙ､二軍戦で汗を流す面々はどんな気持ちでいただろう｡

堂林や野間､少ない出番ではあったが土生のように一軍でﾁｬﾝｽを与えてもらった者はまだいい｡まったく一軍からお呼びがかからない一軍経験者がいる｡梵と廣瀬だ｡

二軍戦でも限定な起用法になっている｡守備につくことも少ない｡DHで廣瀬がｽﾀﾒﾝに名を連ね､途中から今度は梵がDH､という具合だ｡

田中広輔が一番に固定され､梵に出番があるとすればﾙﾅが故障したあとのｻｰﾄﾞ｡しかし安部がその穴を埋め､またﾙﾅが帰ってきた｡ﾊﾞｯｸｱｯﾌﾟ要員には西川龍馬がいる｡

誠也がﾗｲﾄのﾎﾟｼﾞｼｮﾝを勝ち取り､残るはﾚﾌﾄ…と思っていたら松山がいい仕事をして繋ぎ役となり､そこに下水流が出てきた｡これで右の代打の仕事までなくなった｡もとろん小窪もいる｡

梵と廣瀬には申し訳ない話だが､もう枠がない｡ふたりはすでにｷｬﾝﾌﾟの時点で､いやもしかしたら契約更改の時点で｢構想外｣の扱いを受けていた可能性がある｡梵は昨季､一軍で出番があったが廣瀬の方は昨季もずっと二軍にいた｡

赤松もｷｬﾝﾌﾟｽﾀｰﾄは梵や廣瀬と同じ扱いを受けていた｡だが4月6日に早々と一軍昇格のﾁｬﾝｽが巡ってきた｡開幕一軍切符をつかんだ下水流と入れ替えだった｡

赤松は現在､貴重な戦力になっている｡盗塁成功8度で失敗は1度だけ｡打つ方も9打数4安打5得点｡そして交流戦6連勝ﾌｨﾆｯｼｭの起点となる｢ﾋﾞﾃﾞｵ判定ｻﾖﾅﾗ打｣を放っている｡

あの一打かがなかったら､果たしてそのﾁｰﾑの星取りは残り6戦でどうなっていたか…｡

外人枠のおかげで出番のないﾌﾟﾗｲﾃﾞｨは開幕当初の打棒が今やすっかり影を潜め､二軍ですら打率が2割を切りそうだ｡

対照的に二軍戦で結果を残しているのに福井にもなかなか一軍登板の機会が巡ってこない｡投手ｷｬﾌﾟﾃﾝであるにもかかわらず…｡

調子のいい選手､数字を残している選手がこのあとも同じように活躍できる保証はない｡反対に二軍で鍛錬の日々を続ける選手の中からﾁｰﾑの勝利に貢献できるﾁｬﾝｽを掴み捕る者がきっ出てくるだろう｡

それも､これもﾌﾟﾛである以上誰もが通る道ではある｡ただ､今年はこれまでと違う､特別な夏場から秋口へとなだれ込む可能性がある｡

その場に､そのｸﾞﾗｳﾝﾄﾞに､その芝の上に立てる可能性がある限り､白球を追い､ﾊﾞｯﾄを振り､腕を振り抜くしか､やりようはない｡

開幕ｽﾀｰﾄ､鬼門の交流戦と突破しても､緒方ｶｰﾌﾟにはまだ次から次に新たな関門が待ち受ける｡

3万人の大歓声と､世界にひとつしかない､素晴らしい空間が､みんなのことを待っている｡

赤の魂を持つ者はどんな逆境も這い上がる｡