2006年マーティー・ブラウン監督元年。前年までの山本政権が終わり、希望に満ち溢れた年だった。ところが成績は開幕からちょうど30試合で12勝16敗2分けの4位。今年は13勝18敗3分け。ほぼいっしょ…
さらにマーティーの四年間の成績は5位、5位、4位、5位。だが本当に楽しい四年間だった。
いったい何が違うのか?なぜあんなにワクワクしながら期待できたんだろう。それはマーティー采配に夢があったからに他ならない。何をしでかすかわからないマーティー。連敗もしたし、チームが打てない時もあった。そんな時必ずマーティーは動いた。当時は若手との入れ替えはあまり期待できなかったが、出塁率順の打順なんてものもあった。ぬりかべシフト然り。
何よりも僕たちの心をわしづかみにしたのは、2006年5月7日、あの伝説のベース投げだった。たったあれだけでマーティーの四年間を熱く応援する事ができたのだ。
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5月6日
夢をかなえたベース投げ
5月の広島の空を見上げると思い出す。2006年5月7日の中日戦。ブラウン監督が三回に一塁ベースをぶん投げた。これに燃えたナインは五回に大逆転。この日の広島市民球場の入場者数は1万2984人。その時のスタメンは…
東出
梵
嶋
新井
前田
栗原
森笠
石原
大竹
広池-林-永川-ベイルと繋いだ。
ちょうど開幕から30試合。12勝16敗2分けの4位。今年は13勝18敗3分け。ほぼいっしょ…
今、チームに残っているのは3人…もちろん佐々岡監督も当時はローテの中に名を連ねていた。
梵が新人王になり、11月、黒田が残留前言したシーズンだ。キャッチフレーズはマーティの希望が受け入れられてALL-IN。前田のキャプテン就任やぬりかべシフト…。話題豊富でファンの気持ちをひとつにした。
それまでの山本第2次政権は、新井のホームランキングや黒田の最多勝があっても重たい空気に包まれていた。2004年の球界再編問題が球団の置かれた現状の深刻さを浮き彫りにした。2005年、ベースボールドッグ、ミッキーに助けを求めるような状況だった。それをカラっとした明るいものに替えたのがマーティだ。
ベース投げはTシャツになり、今のカープグッズ商品販売の転換期の役目を果たした。当時のグッズ売り場は地下室のような暗い通路にあった。そこにマーティ・ブラウンのサイン入りの販売用のベースがいくつか並べてあったりした。
2006年の動員数は前年の105万119人から100万9481人に減少したが、2007年は112万9061人に増え、ラストイヤーの2008年は139万680人に増えた。この年の9月23日の巨人戦。入場者数は実数発表になって最多の3万440人だった。
そして新球場元年は187万3046人。この流れの中でマーティが果たした役割は大きい。
しかし10月4日の横浜スタジアムでのデーゲームの最中に141試合目でクライマックスシリーズ進出の夢が途絶えたマーティは7日「辞任」を発表。10月14日、広島に別れを告げ午後1時6分発ののぞみに乗り込んだ。
この時、見送りに来たのは通訳だけ。職員も選手もコーチ陣も誰もいなかった。
かつて広島に奇跡をもたらしたルーツ監督が広島空港(すでに廃港)から発つ時には衣笠ら多数の球団関係者が見送りに来ていた。大違いだ。
さらに球団ではマーティが新幹線に乗り込んで2時間後、マツダスタジアムで野村新監督の就任会見を行った。
通常5年一区切りの監督サイクルでなぜマーティは4年だったのか?
シーズン大詰めで松田オーナーはAクラスなら続投もあり、としたが後にも先にもそんな条件を出された指揮官はいない。
マーティは元球団職員だった女性と籍を入れ、最後もふたりで帰国の途についた。実は「この女性もまた松田オーナーの「お気に入り」のひとりだった。球団内では「お気に入り」は「お気に」と略される。「お気に」を奪われたことと1年契約が短縮されたことの関連について確認することはできないが、しかし、松田オーナーがその手の話をしていたのは事実。以来、マーティは、マツダスタジアムのスタンドに姿を見せたことはあっても球団公式行事などとは無縁である。
あのベース投げが今のボールパーク展開への転機だったことを、はっきりと書き残しておく必要がある。数えきれない人たちの手によって今のマツダスタジアムのカープがある。松田オーナーの好き嫌いで、貢献した人々を仕分けていいはずもない。
クーデターのミャンマーや、強制収容所を次々に生み出す中国の独裁者のような手法は、原爆ドームそばから現在地に松田オーナーの意思で移転したとしても許されていいはずもない。
夢と感動をありがとう。マーティーの事は生涯忘れません。そして佐々岡監督、どうかあの時の事を思い出して欲しい。
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