坂口尚さんの「あっかんベェ一休」を読んだ
2年前だったか、日野先生と古本屋に行った時、買っていただき、読みなさいと手渡された本だ。
すっかり忘れていたが、片付けの途中で出てきて、慌てて読んだ。
一休さんの物語。
僕の知っている「一休さん」は、テレビアニメのあれがすべてだ。他に本を読んだといっても、あのアニメの一休さんの絵本で、内容はすべてとんちのお話。それも、橋の真ん中を渡って、虎を退治しようとするような、その程度の知識しか無かった。
ただ、僕なりにあのアニメの中で、ひとつだけ疑問に思っていた事がある。それは、なぜ将軍足利義満がそこにいて、蜷川新右衛(にながわ しんえもん)という人は何者でどうゆう立場の人なんだろう?という事だった。
足利義満が登場するので、時代背景は室町幕府である事はわかる。ただ、なぜいっかいの寺の小坊主が将軍様に呼ばれるんろう??といつの頃かその疑問は持っていたのだ。
今回、この本を読んで全ての疑問は解けた。それが知ってて当たり前のことかどうかは知らないが、僕は初めて知ることばかりだった。
そもそも、一休という人は後小松幹人(ごこまつもとひと)天皇の落とし子ということだ。母の伊予局(いよのつぼね)は一休さんを身ごもった後、御所を追い出される。
その後、一休さんが6歳になる頃、天皇家南北朝の関係で命の危険があり、母と別れて臨済宗の安国寺に預けられたという事だ。
ここまでで、ようやくアニメ「一休さん」のエンディング「ははうえさま」の歌詞の意味が理解できた。これは誰でもが知っている事なんだろうか??
「ははうえさまおげんきですか」に始まり「それではまたおたよりします ははうえさま いっきゅう」で終わる。ようは、一休さんからの母上様宛ての手紙になっている。
僕が安国寺と聞いて思い浮かぶのは「安国寺恵瓊(えけい)」ぐらいか。一休さんに出てくる安国寺とういうのは、京都四条街大宮西にあった禅寺で現在は無くなっているらしい。そこで一休さんは修行をして、後に臨済宗大徳派大本山の「大徳寺」の僧侶となる。大徳寺は当時の京都で一番えらい寺とされていたらしい。
ちなみに、アニメ「一休さん」の時代背景は、この安国寺時代のものとなる。
この物語では一休さんは、上巻のうちは修行にはげんでいるが、下巻になると酒をくらい、女を抱くといういわばこの当時の禅宗の僧侶として破天荒な生き方が描かれている。
しかし一方で、安国寺を初め一部の禅宗の僧侶の行いも風紀が乱れていらような書き方をされている。
下巻を読みながら出てきた疑問は、一休さんはなぜ臨済宗にこだわったのか?ということだった。この時代なら蓮如さんがおられただろう。なぜ一休さんが臨済宗を捨てなかったのか?蓮如さんとは出会われる事は無かったんだろうか??
と思いながら読んでいくと、やはり一番最後で、蓮如さんと一休さんが出会われる場面が書かれている。しかし一休さんが主人公だからだろうか、この時、蓮如さんに迷いがあり、それを一休さん問うよな場面になっていた。
そしてここで一休さんは、「他力宗のかたがた」「自力宗の私は」と言っている。僕の疑問はこれが答えだったのかな。一休さんはどこまでも自力を生きようとされておられたという事か。その上で修行をされるのだが、それは人間として生きていくことであり、全ての欲を捨てる事とはまた違うということだと読んでみたが、どうだろうか・・
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