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田辺一球 広島魂の12月19日付、コラム赤の魂より転載。
前田智徳「しるし続編」
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前田智徳。背番号1のヒーロー。24シーズンを戦い、そして静かにバットを置いた。来季を見据えることなく初めて迎える11月と12月。イベント参加などによるファンとの交流やテレビ出演などで忙しい日々が続く。
広島、東京間を行き来しながらの生活の中、今は何を思うのだろうか。
9月27日の引退会見。その“多弁”さが改めて証明され、その流れは各局テレビ出演で今も止まることを知らない。逆にそのおかげで現役時代には謎に包まれていたものが少しずつ明るみに出始めた。
だが、まだほとんどの人が知り得ない事実はたくさんあるはずだ。そこを解き明かす作業をもうそろそろ始めてもいい。
「天才バッター」
行く先々で、スタジオでそう言われるたびにてれくさそうに首を横に振る。そして「ほかの競技でもそうですが、若い時に早くから試合に出たりするとそういうことになりがちなんですよ」と実に的を得た発言で周囲を納得させたりもする。
「天才」なのか、どうなのか。その論議は別の番組に譲ることにして「異彩」であることは間違いない。
どこが異彩か?本人は「天才か?」と聞かれると「僕はイチロー選手や落合さんのようにタイトルを一度も取ったことがないし…」と返すが、まさにそれこそが「異彩」である、ということになる。
日本プロ野球、通算7000打数以上の打撃ベスト10、というデータがある。
それによると…
1位、張本勲(ロッテ)打率・319、3085安打
2位、川上哲治(巨人)打率・313、2351安打
3位、落合博満(日本ハム)打率・311、2371安打
4位、長嶋茂雄(巨人)打率・305、2471安打
5位、前田智徳(広島)打率・302、2119安打
6位、王貞治(巨人)打率・301、2786安打
…と続く。
張本氏は広島県松本商業高校(現瀬戸内高校)出身。広島魂の元祖とも言える広島最強プレーヤーのひとり。首位打者7回を誇る。
「熊工の偉大なる先輩」川上氏は首位打者5回、本塁打王2回、打点王3回。前田智徳との“特別な関係”がこのオフ、浮かび上がりつつある落合氏は三冠王3回で打撃3部門で5回ずつタイトルを取っている。
長嶋氏は首位打者6回、本塁打王2回、打点王5回。世界の王は三冠王2回で首位打者5回、打点王13回、そして本塁打王13年連続13回…。
このように通算7000打数以上のバットマン、ベスト6には今となってはにわかに信じがたいタイトル獲得数が乱舞する。
しかし我らがヒーローは一度もタイトルを取っていない。それが「異彩」の凄みをいっそう増すことになっている。
拙著「CARP2013-2014永久保存版」“収録”の24シーズンノンフィクション「前田智徳、しるし」には、まだ描き切れていない物語が数多く存在する。その一部を補足していく。なお、文中、通算7000打数以上ベスト6の所属球団は最終所属先。
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